「コメ兵がEC企業2社買収」と「メルカリ1億ダウンロード」は同じ2つの価値観に基づいている
日本のブランド品のリユース企業のトップ、コメ兵がEC企業を2社買収したとのこと。
https://netshop.impress.co.jp/node/5003
代表取締役社長 石原卓児 氏
買収したのは平行輸入品のバッグや衣類などを販売している「イブコーポレーション」と、
ECサイトで靴磨きなどのシューケア用品を販売している「アークマーケティングジャパン」。
この買収狙いは、コメ兵が既に持っているファッションリユース事業との相乗効果となっているが、それはどういうことで、今の市場にとってどんな意味があるのでしょうか。
コメ兵の根底に見えるもの
まず、コメ兵はブランド品のリユースに関しては日本一の実力を持っています。
その実力とは3つの項目からなります。
1.販売力……店舗展開と売場作りは他社を圧倒していて、特にインバウンド需要に強い
2.買取力……名古屋で培った買い取りのノウハウは他社より一歩も二歩も先んじている
3.鑑定力……ブランド品の価値の肝である真贋を見分ける力。掛けてきた時間が凄い
これら3点はコメ兵の軸がリユースショップであることははっきりと表しています。
ネットショップを展開しても、フリマアプリをリリースしても、コメ兵の軸はリユースショップであり、
リユースショップとは物を中心にして人が集まる場です。
それはコメ兵の創業精神のひとつである
「高く買えばモノがあつまり、安く売れば人が集まる」
を達成するためにコメ兵が選んだ武器なのです。
コメ兵はこのリユースショップをひたすら強化させていくという方向性で、今回の買収が合ったのだと思います。
つまり、今後もリユースショップとの相乗効果が狙える事業であれば提携や買収もあるでしょうし、個人的にもコメ兵さんには強化を行っていって欲しいと思っています。
※過去記事より
KOMEHYO(コメ兵)さんのホントの査定額 ◆実際に買取依頼しました◆
メルカリの根底に見えるもの
先日「メルカリNOW」をリリースし、話題沸騰のフリマアプリメルカリが、なんと1億ダウンロードを記録しました。
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/409/409016/
メルカリ上の取引は2017年で3000億程度と予想されています。
スタートから4年間で3000億の市場が生み出され、しかもそれはリユース業界にプラスオンする形になっているのです。(今のところは……)
日本国内はもちろんのこと、アメリカでも3,000万ダウンロードを超えているとのこと。
この世界展開は、メルカリの当初からの理念である
「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」
に合致した動きであり、今後もさらに進んでいくことでしょう。
コメ兵とメルカリに共通している2つの価値観
もうお分かりかと思いますが、
コメ兵とメルカリに共通している価値観とは、
「ブレない軸を持つ」
ということです。
初志貫徹といっても良いかもしれません。
そしてもう一つの価値観、それは
「顧客の後悔の可能性を減らす」
ということです。
この価値観は、芸人で絵本作家でもある西野 亮廣さんの著作に詳しく書かれています。
・お客さん動かすためには、後悔の可能性を取り除いてあげる
この考え方は今の商売にはどんなものにでも必要で、さすが成長企業であるコメ兵とメルカリにも見て取れます。
まず、コメ兵の「後悔の可能性の取り除き方」はズバリ、
鑑定力です。
あえてメルカリと比較するならば、
ブランド品の取扱に関しては、ヤフオクも同様ですが、ホンモノかニセモノかという不安からユーザーは解放されていません。
というか、メルカリに出ているブランド品は、保証書やそれまでの取引数、評価の数などが揃っていないとなかなか高い値では売れません。
つまり、メルカリという売場がマイナスの付加価値を商品(ブランド品)に与えてしまうのです。
しかし、コメ兵の「KANTE」の場合、「KOMEHYOカンテイ」で真贋判定を行えます。
もちろん店舗でも同様で、鑑定力・目利きの力によって、コメ兵の顧客は
「このブランド品は実はニセモノなんじゃないか?」
という不安、
「ニセモノを掴まされた!!!」
という事後の後悔をあらかじめ取り除くことができているのです。
これによって商品に付加価値がつき、他社より有利な商売ができるというわけです。
一方、メルカリの場合はさらにドラスティックな方法をとっています。
それは、リユースの形をより先鋭化させていることです。
それは「疑似レンタル」と言って過言ではありません。
エンドユーザー間での「買う」と「売る」を、一つの場で莫大な人数に立ち会わせることで、その取引の量、スピード、価格が最適化された結果、
実はリユースの本質である「疑似レンタル」の色味が今はっきりと見えつつあるのです。
「疑似レンタル」とは、
「この服は10,000円するけど、メルカリで売れば8,000円になるから実質2,000円で買える」
という感覚のことです。
実際は価格が保証されているわけではないので、レンタルではないのですが、メルカリのヘビーユーザーの使い方はまさにこの「疑似レンタル」なのです。
そして、これがメルカリの「後悔の可能性の取り除き方」なのです。
ちなみにリユース業界では「レンタル」という言葉は色々なタブーに触れてしまうので、絶対に広告などで使うことはありません。
ですが、「疑似レンタル」的にお店やサイト・アプリを使ってもらうのはリユースの商売に携わる者の理想の形です。
メルカリは「顧客の後悔の可能性」を減らすと同時に、
ユーザーみんなの部屋がレンタル店の倉庫
になるように世界を変えてしまったのかもしれません。
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「やっちまったなぁ!」な2つの失敗例
最後に、この2つの価値観
「ブレない軸を持つ」
「顧客の後悔の可能性を減らす」
に合致せず、終わってしまったサービスを御覧ください。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/11/news058.html
http://mall-official-blog.line.me/ja/archives/1052721184.html
急成長していたこの2つの企業もトライアンドエラーを繰り返しているわけで、
結果エラーとなってしまったこれらの試みは、この2つの価値観に則っていなかったのだと思います。
今回、この記事を書いていてつくづく感じたのですが、
昭和のニオイを持つコメ兵と
デジタルネイティブなメルカリ、
同じ業界に在るように見えて、実は違う目的地に向かっているこの2つの成長企業からこれからも目が離せません。
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